2010年10月〜2012年3月まで愛知県新城市の湯谷温泉郷にて、展示・制作していた美術作品「うつる」についての記録です。
(写真はクリックすると大きくなります。)

2011-04-14

春らんまん、花のにぎわい(後篇)/現地制作4th

 4月の大駐車場です。
こちらでも桜の花と木々や草の新芽が鮮やかでした。















昨年の10月から作品を設置して約半年経過しました。
真っ白だったオーガンジーの色が少しずつ変わってきていますが、
近付くと強くなった日差しをぴかぴかと反射しています。

周りの桜から舞ってきた花びらが作品のあちこちに引っかかっていました。
上からのぞくと、布の下で植物が新しい活動を初めているのが見えます。















そんな周りの勢いにちょっと驚きながら、制作を始めました。

廃材の上で白い花が咲いていました。
キイチゴのようです。
茎葉に細かい毛が生えていて、
たしかに名前の通りごっつい印象がしますね。

これはスイバでしょうか…。
1メートルくらいに大きくなるはずなので、
作品の下に生えていたら突き破られそうです。










今年の春は寒い日が多く、
大きな災害が起こって心が凍りそうなことが続いていることもあって、
まだまだ春のはじまりだと思っていたのですが、
植物の世界では成長と繁殖への疾走が始まっていました。

これから秋にかけてこまめに様子を見ないと、
作品があっと言う間に植物にまけてしまいそうです。

























布と布の隙間につるがすでに入り込みかけていました。


















こちらはゲンノショウコでしょうか。
若芽の色がきれいです。



作業を初めて約3時間後。

空気がすうっと冷たくなり始めたので辺りを見回すと、日が山に入り始めていました。
時刻は17時を過ぎた頃だったと思います。
春分を過ぎてからずいぶん日が長くなりました。

作業を終えることにしたのですが、
夕方の電車は発車したばかりで、次の電車は19時台。
2時間近く時間があります。
近くの「ゆ〜ゆ〜ありいな」に寄っていくことにしました。
ゆっくりお風呂に浸かるにはちょうど良い時間です。


途中にある国道151沿いの桜並木も満開。
クリやカキの木から薄い黄緑色の新しい芽が出ていました。

お風呂からあがって駅に向かって歩いていくと、
静かな夜の旅館街の通りは街灯に桜の花や舞う花びらが照らされ、
とても幻想的な様子が見ることができました。

この日は天気にめぐまれて、
とても書ききれないほどたくさんの春の花々を見つけられました。
また、この季節に来てみたくなりました。

春らんまん、花のにぎわい(前篇)/三河槙原駅から

2ヶ月ぶりに制作へ。
今回は湯谷温泉駅から一つ北側の三河槙原駅で降りて向かうことにしました。

駅舎から出てすぐに目をひくのが、採石場だという大きな断崖。
この辺りは鳳来寺山の裏手に当たるそうです。


断崖の下を通って歩いて行く途中、
車が通れるか通れないかぐらいの巾の短いトンネルをくぐりました。

























この「槙原トンネンル」は、もともとは素堀りのままだったのですが、
トンネルの上に流紋岩の断層があるためか、
コンクリートでがっちりと補強されるようになっていました。

流紋岩は火山の活動によってできた岩石なのですが、
断層同士が擦り合ううちに岩が細かく砕かれ細かい土粒に変わっていくので、
水で削り取られるいうちに断層の部分は自然と低くなりました。
(トンネル天井右上から山上への部分に注目)

小さな山を下ると、左に宇連川が見えるようになります。
駅からほど近い対岸の辺りは「湯谷園地」として整備されていて
広い駐車場や「樹林広場」があります。
(樹林広場にもきてみん!奥三河に参加している他の作家の作品があります。)
川には鮎のヤナ場もあり、
子どもが川遊びができるように護岸されているところもありました。
また、山上には「県民の森」があるので夏はとてもにぎわいそうなところです。


ここからしばらく名勝・板敷渓谷の景色がよく見えます。
川底が板を敷いたような平らな岩盤であることから「板敷」という名前が付いたそうです。
川面をのぞくと、澄んだ水を通して川底の岩の模様がよく見えました。


すぐ右には飯田線の線路。
川と線路に挟まれた道をてくてく歩いていると、
時々サイクリングをしている人とすれ違います。

かつて忌野清志郎さんがお気に入りの場所だったという湯谷温泉。
訪れた時は彼もこの道を走っていたのでしょうか。


花の後から葉が出る
コバノミツバツツジの花もそろそろ満開でした。
あちこちで見かけました。
「レスト板敷」の駐車場にも植えられています。
 薄い紫色をしているタチツボスミレの花。
葉っぱがハートの形をしています。
黄色いイチゴの花ですが約2センチほどあり、
ヘビイチゴより大きいので、
ヤブヘビイチゴの様子。















集落を抜けて旅館街と湯谷温泉駅前へ到着。
こちらもおだやかな春の景色につつまれていました。
橋を渡ってようやく作品へと向かいました。

後篇に続く)