2010年10月〜2012年3月まで愛知県新城市の湯谷温泉郷にて、展示・制作していた美術作品「うつる」についての記録です。
(写真はクリックすると大きくなります。)

2010-10-30

台風と過ごした一日。/現地制作1st

「アートの森」2ND.SEASON の公募展が始まりました。

しかし、今日は台風14号が東海地方に来襲。
朝の名古屋市内は曇り空だったのですが、
飯田線への乗り換え駅である豊橋に着くと、すでに土砂降り。
屋根から滴る雨を避けつつ飯田線の列車に乗り込んで、
正午過ぎに現地へ到着。

すでに大駐車場の西側で作品を展示される日笠さんが、
作品の設置作業に入られていました。

もちろんこちらでも土砂振りの雨なので、
広い駐車場全体が池のように変身。
…とは言うものの風の影響はあまりないようです。



















激しい雨で、頭上で葉をひろげている
合歓の葉っぱがたくさん落ちて張り付いていました。















作品の南東側に白い板が置かれていたので、
近付いてみるとキャプションが設置されていました。



















あまりの大雨の所為か
今回は蚊も飛ばず、虫をほとんど見かけませんでした。



長靴を手に入れて来れば良かったと思いつつ、
針って雨の中でも持てるものなんだと
妙に感心してしまいました。



14時頃が大雨のピークだったようです。
15時を過ぎた頃から徐々に雨が弱くなり、
16時過ぎにはほとんど止み、空が明るくなってきました。



左下に見えるのは、日笠さんの作品です。


間もなく日暮れの時間が近付いてきたので、
今回の作業を終えました。















駅へ戻る途中の浮石橋より川を見ると、
増水した流れで大滝がすっかり埋もれていました。















2010-10-22

「藁山の中から針を探す」/滞在5日目

滞在制作ができる最後の日でした。

まずは使わない荷物をまとめて
5日間お世話になった宿泊先をチェックアウト。

展示場所も宿泊先も宇連川からは、
隣と言えるほどすぐ近くの場所。
ですから、ずっと川の音を聞いていました。


今朝は夜のうちに雨が止んでいたので、
スムースに作業に取りかかれました。

作業をしてしばらくたつと、
いろんなお客さんが集まってきていたのに気付きました。
























こちらがごそごそ作業しているうちは、
まったく逃げる様子がありません。

私の方が「お客さん」と思われているのかも…。


ところで雨が止んだことは良いことでしたが、
一つ私が予想していなかった問題点がありました。

それは、針を失くしてしまうと
作業ができなくなってしまうことです。

うっかり針が地面へすべり落ちてしまうと、
植物や地面、枯れ草に埋もれてしまって
なかなか見つけられないのです。


2本を3回落として何時間か後に2回見つけたものの、
1本は見つからないまま…。
まさしく諺の通りでした。


しかも、見つかった針は地面の湿気によって
半日で錆びてしまっている始末。


次は予備の針を多く持って行くことにします。


16時半頃になると周りが薄暗くなってきました。





帰りの電車の発車時刻も迫ってきたので、
今回はここで終わりにしました。

2010-10-21

盲点は虫の視点。/滞在4日目

今日も朝から雨。
こちらは、山間なので
天気予報よりも、こころもち雨の量が少し多いみたいです。

昼前くらいまで様子を見ていたのですが、
小止みになってきたので外に出ることにしました。

作業の前に駅近くへ行ってみると、
自動販売機に白い蛾がブローチのようにとまっていました。


























今日はこの状態から作業を始めました。
















虫が針金が入っている布の間で死んでいるのを見つけました。
金具の固定するために、針金の周りを1本線ではなく、
わずかな隙間を空けて点線のように縫っているのですが、
その隙間から入り込んでだまま出られなくなってしまったようです。

よじ登っている虫たちからは、どのように見えているのでしょう。



















虫のまわりを糸でぐるりと囲んでみました。


反対には鳥の糞が落ちているのを発見。
(早速…。)
こちらもぐるりと囲みました。



















こちらはいつか消えるのでしょうか。
糞が消えてしまっても糸は残っていると思います。





今日はここまでで終わり。










2010-10-20

雨に濡らされて見えたもの。/滞在3日目

天気予報の通り、朝から雨。
困った…と、言っていられるほどではないので、
とりあえず様子を見に行ってみました。
















雨に濡れて屈折率が変わり、見え方が変わっていました。


また、水で布の下に生えている植物の葉っぱが
布にくっついて、くっきりと色や形が見えるようになっていました。



近くを蟹が歩いていたので、キャッチ。
気付いて逃げてしまいましたが、とても脚が速かったです。





雨が小止みになってきたので、
13時頃から道具や傘をを持ってきて、今日の作業を開始しました。

下の蔓の形や廃材に合わせて
張っているオーガンジーとは違う種類のオーガンジーで作った
細い紐を這わせたり、糸で縫いたどったり。



















布の下に蛾が入りこんでいたので縫いかたどってみました。
が、図太いのか気付いていないのか、
(それとも気付かないフリをされているのか、)
すぐそばを針でチクチクしていても逃げる様子がありません。




雨空のためか暗くなるのも早く、
今日は17時過ぎで終了しました。

2010-10-19

空の広さと針の歩み。/滞在2日目

晴れ、というよりは薄曇りの天気。
でも外で作業をする分には暑くなり過ぎずに
ちょうど良さそうな様子です。

持ってきた布をこのような円錐型にするために、



















布に2本の針金を通して、輪になるように縫い合わせます。

針金の張力に負けないように縫い目を細かくすると、
ここまでに約3時間かかりました…。
















展示作業では針を使うことがわりとありますが、
屋外で針を使うのは初めてであったことに気が付きました。


そして廃材の山に沿って、
打ち込み丸カンを打って針金で固定しました。















山に布がぴったりと触れるのではなく、
下に生えている植物が伸びることができるように、
ちょっと浮いているようにしています。
























突然知らないものが現れたためか、
それまで周りにいなかったいろんな虫たちが
見に来るように寄ってきたり、
集まってきてたのには、少し驚きました。




日が暮れかかる前に作業を終えることができました。


大駐車場の近くで、こんな蝶(蛾?)を見つけました。
絣地のような柄をしていました。

2010-10-18

何はともあれ、まずは見ることから。/滞在初日

天気は晴れ。
正午過ぎに湯谷温泉駅に着くと、
まずは宿泊先へチェックインしに向かいました。

今日を合わせて5日間滞在し、作業をする予定なのです。

宇連川の川底がよく見えます。















預かっていただいている荷物の確認するついでに
最初に設置するために縫い合わせてきた布を広げてみました。















一通り荷物の整理を終えた後に
明日から行う作業のための下見に、
展示場所である、湯谷温泉大駐車場の廃材置き場へ行きました。



















と、2週間前に下見に来た時までは、
ぼうぼうに生えていた草が見事に消えています。

少しびっくりしましたが、
気を取り直して、いろいろ観察してみました。

ゲンノショウコを見つけました。



















こちらは、キツネノマゴのようです。
























廃材の間に古いミツバチの巣が落ちていました。




















いよいよ明日から、ここで作業を始めます。