2010年10月〜2012年3月まで愛知県新城市の湯谷温泉郷にて、展示・制作していた美術作品「うつる」についての記録です。
(写真はクリックすると大きくなります。)

2011-12-13

小春日和にめぐまれる/再設置3日目

3日目の朝。
霜が溶けた水滴が布に透けて模様のよう。


この日もまた天気にめぐまれたので、作業の合間に川沿いや大駐車場のまわりを散歩してみました。
温泉スタンドの辺りに植えられている桜が花を咲かせていました。
狂い咲きではなく、1年に2回、花を付ける四季桜の仲間のようです。
(後ろに写っているのは遠藤さんの作品です。)

まだ行ったことがなかった東岸沿いの遊歩道「ささやきの小径」を通って、
向こうに見える大滝の近くまで行きました。
川をすぐそばで眺められる遊歩道で、途中に水神様がまつられています。

大滝のすぐ横では対岸の旅館だった建物が取り壊されていました。
新しい建物ができるのかどうかはわかりませんが、
また来た時には風景がどんな風に変わっているのでしょう。






































歩いて来た道を振り返ったところです。
もともと水路であったところを歩道化したそうです。
この夏から秋の台風の仕業なのか、大きな枝が折れてぶら下がっていました。






































小径の終点から階段を登っていくと、大駐車場の隣にあるプール跡へ出ました。
コンクリートのプールサイドには、小枝や落ち葉が分厚く積もり、
かつてプールとして使われていたであろう様子はなかなか想像できません。






































15時半を過ぎた頃、日が山の向こうへ隠れてしまうと、
ぽかぽかとした陽気はたちまち消えていき、冬だということを思い出させられます。
日照が一番短くなる冬至(12/22)まであと9日ほど。
明るいうちに急いで作品の写真を撮らないと…!
16時半近くなるとみるみる薄暗くなっていくので、
手元が見えなくなる前に(!)急いで片付けています。

新年は1月28日(土)より湯谷温泉にて「きてみん!奥三河」の新城市企画展が始まるとのこと。
(詳細がわかるのを楽しみにしています。)
ちょうどここ大駐車場にて花祭りが行われる時期でもあります。
その間にまた訪れてみたいと思います。

2011-12-12

おいしい雷神/再設置2日目

びっしりと霜が降りた朝。
2日目からは湯谷で作業をします。


曇っています。


そそり立った山に東西を挟まれた谷間なので、日が傾いて山に隠れるのも早いのです。
今年は紅葉の時期が遅いそうですが、一帯の山々が紅葉で赤く染まって見えました。

廃材の山に作品の土台を設置した頃には、日が顔を出してきました。
念を入れて厚着し過ぎているとは言え、なかなか暖かいです。

作業している脇で見つけた、紅葉した植物のつる。
鮮やかなピンクが目を惹きました。
寒くなったとは言え、雪が積もる前だからか、
秋の草刈り後に芽を出したり伸び続けている草がまだまだありました。
せっかくまた設置したので、もう少しがんばってくれるといいな。

撤去された作品の破片も使っていきます。
























作業している時にお世話になっているスタッフの方から、
ブラックサンダー」という名前のクランチチョコレートをいただきました。

私はまったく知らなかったのですが、豊橋の工場で作られているため、
豊橋を中心によく販売されている人気のあるお菓子とのこと。

「黒い雷神」、「おいしさイナズマ級」といった
パッケージに印刷されているキャッチコピーにもびっくり!
(神様食べても良いんですか…)

名古屋に帰ってから、思い出す度に探しているのですが見つけられず…。
写真を撮らなかったのを後悔しました。

2011-12-11

旧東部小学校の風景/再設置1日目

3日間の予定で作品の再設置作業をしに行きました。

昼過ぎに東栄町の旧東部小学校に到着。
校舎の中から北側を見やると、南天の赤い実と紅葉の木々で初冬の風景でした。

より大きな地図で 東栄町 を表示


ちなみに飯田線の東栄駅は町の南端にあり、駅から100円で乗れる町営バスにて中心地へ移動します。
たまたまこの日は電車が遅れていたのですが、
電車の到着に合わせて発車しているようでスムーズに乗れました。
どの停留所で降りたら良いかわからなかった時は、運転手さんに聞くと親切に教えてもらえましたよ。

現地スタッフの方に荷物の受け取りをお願いしていたこともあり、
この日は玄関前の廊下にて準備作業をさせてもらいました。

大きなスカート状にした土台の布に枠を通しています。

チェーンソーで作品を作っている方がいるので、静かな校舎の中に遠くから音が響きます。

この旧東部小学校は、昨年の3月に閉校されたとのことです。
紹介を兼ねて、10月に訪れた際に撮った写真を載せます。
ちょうどこの時は「きてみん!奥三河」の東栄町企画展の会場となっていました。

校長室に残っていた、おそらく最後まで使われていたカレンダー。



















板張りの廊下から教室をのぞいたところ。
奥に見える教室内にはスサイさんが展示をされていました。


まだ閉校して1年目だからか、あまり古びて傷んだ印象はありません。

建物は使われて人の手が入っている方が、建物自体もしっかりして空間もいきいきしているように見えます。
やはり人が使うために作られたものだからでしょうか。

教室に残された鬼のお面。

鬼は花祭りの中では堂々と力強く頼もしい存在です。

「山を割り、生命の再生を図り、生まれ清まりの役割を担う」山見鬼
「大地に新しい生命力や活力を吹き込み、自然の恵みや、五穀豊穣をもたらす」榊鬼
(北設楽花祭保存会発行のパンフレットより)

昔話に出てくる人を脅かす者というよりは、
屈強で厳めしい神様としての顔をしている気がしました。

2011-12-09

イノシシに襲われたのではなく…/再設置準備

24節季の大雪を過ぎました。
名古屋でミシンを使って再設置のための準備をしています。
写真ではわかりませんが、久しぶりに大きな布…。

なぜに再設置?なのかは、日をさかのぼること10月25日。

いつもよりも早起きして初めて午前中に着く1本早い電車に乗りました。


紅葉が始まった頃です。



















天気も秋晴れ。























さて、現地に着いてみると…
無!?

草刈りの折に、引っかかってしまったのか…。
撤去されてしまった様子。

………………………。

事務局の方と相談した結果、再設置することになりました。
という訳で、近日中に向かいますよ。
(寒そう〜。)

2011-09-28

六甲ミーツ・アート 芸術散歩2011に出品中








秋分を越えて気が付くと、日が沈む時間がかなり早くなりましたね。 

既に開催中ですが、兵庫県の六甲山上にて行われている展覧会のお知らせです。
 (「きてみん!奥三河」関連ではありません。)

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「六甲ミーツ・アート 芸術散歩2011」
   
会期/2011年9月17日(土)~11月23日(水・祝) ※会期中無休
開場時間/10:00~17:00 (受付終了時間は施設により異なります)
会場/六甲ガーデンテラス
   自然体感展望台 六甲枝垂れ
   六甲山カンツリーハウス
   六甲高山植物園
   オルゴールミュージアム ホール・オブ・ホールズ六甲
   六甲山ホテル
   六甲ヒルトップギャラリー
   六甲ケーブル 
サテライト会場/オテル・ド・摩耶
  (会場には有料施設が含まれます) 

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自然体感展望台 六甲枝垂れ(展覧会MAP内「見晴らしエリア」) 
にて作品を展示しております。

六甲山頂に近いところ(標高約880m)で、
よく晴れた日に見える、街と海を一望できる見晴らし風景は圧倒されます。
一方で雨や霧がどっしりと立ち込めて、
空気ごと動くさまが見えるような日は幽玄な趣があります。

刻々と動く太陽と月、天気の中で
表情や輝きを変えていく眺望を見ながらの設営作業でした。 
(時間とともに背後を通るお客様の層も変わっていきます…。)
そんな景色や天候のうつろいとともに見え方も変わっていく作品です。

2011-07-02

もりもりふくらむ夏/現地制作5th

久しぶりの飯田線です。
夏の土曜日でハイキングや鉄道旅行を楽しみに来たお客さんで賑わっていました。

今日も三河槙原駅から歩くことにしました。

名古屋から豊橋付近まではよく晴れていたのですが、
飯田線で北上し山に近付くにつれてだんだん雲が厚くなり…。
電車から降りて歩くと、この通り梅雨景色。
























もちろん湿気もぐっと増して、とても蒸し暑かったです。
朝、途中下車した豊橋駅前では、晴れて日差しが強かった分、カラリとしていたのですが。















槙原トンネルを出て宇連川と線路が見下ろせるところです。
左側の湯谷園地では川遊びをしている人たちが見えて、
前回来た時(春!)からの季節の流れを感じました。
曇って日差しは弱いものの、蒸し暑くてたまらない天気なので、
気持ち良さそうだなぁ、と眺めながら今回も線路のある対岸の道へ進みました。

途中、養乙女橋を渡ってレスト板敷の奥で見かけた梅の木。
地面に落ちた完熟した梅の実の色がきれいでした。

近くの木立から、蝉の鳴き声が聞こえる…?

孵化して間もないようなカマキリ。
(花のやや下にいます。)






トカゲやバッタ、大きなトンボも何匹か見かけました。
が、撮ることができたのは、このシオカラトンボだけ…。
夏とだけあって、動きがとても速いです。






あちこち道草しつつ、ようやく作品のある大駐車場に辿り着きました。
3ヶ月近くのブランクです…。
しかも、5月の終わりには台風2号が通りました。

そして、さぞかし周りの草木が繁っていることだろうなぁ…
と、昨年初秋に下見へ来た時のことを思い出して覚悟していたのですが、
駐車場全体の草刈りがされていて、凄まじい様子ではありませんでした。
(ありがとうございます…。)

と、思ったのも束の間で、近付いていくと異変に気付きました。






































作品が膨張…!?
もりもり…みしみし…と音が聞こえてきそうな感じです。

布全体がぱっつんぱつんに張っていて、裂けているところもあります。
経年変化で弱くなっているところもあるはずなのですが、
あきらかに下の草木の成長で盛り上がっているようです。

(以前の「現地制作」の記事と比べてみてください。)


プランを立てる際に予想はしていたのですが、
その様子を実際目にすると、しばらく圧倒されてしまいました。



作業を始めました。
これからは破れているところをこれ以上裂けにくくしたり、
少しずつ覆っていくような作業が中心になりそうです。

てっぺんに丸く開けたところからもつるや葉がはい出してきており、
中の廃材が埋まってしまっています。

手前を糸で模様をつけるような感じで
破れが広がらないようにぐるぐると縫ってみたところです。
その奥で植物が布を突き破っています。


作業をしていると、いろんな虫が周りを通っていきます。

ある時、紫色がかかった黒い虫が1匹
手元を通りかかりました。
もしかして…ホタル?
と思ったもののすぐに茂みに紛れてしまって
目で追うだけで写真が撮れず…。

そういえばホタルの見頃って、
ちょうど今どきではないでしょうか。…残念。
(後で姿を調べてみると、やっぱりホタルのようでした。)








少し涼しくなってきて気が付くと18時過ぎ。
春からの変わり様に驚いて、思わず時間を忘れて作業をしていました。


そういえば今日は夏至から11日目にあたる半夏生。
ちょっと日没が早くなった気がしていますが、空はまだまだ明るいです。


列車の時刻を確認すると、次の上り電車は19時半頃、その次は21時前なので、
ここ数ヶ月恒例コースになりつつある、「ゆ〜ゆ〜ありいな」の温泉浴場でしばらく休憩。

すっかり日が沈んでから湯谷温泉駅に向かうと、
そこでは、光に集まったり、暗がりに紛れる夜の虫たちの姿を目にすることに…。

自動販売機の片隅で羽根を広げたところを見て、
トンボかと思ったら、触角がありました。
蜻蛉の仲間でしょうか。

ホームへ出ようと駅舎を見上げると、
ヤモリが張り付いていたり…。

そしてホームではコメツキムシと初遭遇。




旺盛な草木の様子もとても印象的でしたが、
今日だけでいろんな種類の生きものを目にしましたよ。
生まれて初めて見るものも多かったです。

2011-06-28

メナード美術館にてワークショップのお知らせ

夏至を迎えてぐっと気温が上がりましたね。
私が住んでいる名古屋では「もう8月?」と言いたくなるような
蒸し暑い日が続いています。

さて今回は、メナード美術館(愛知県小牧市)にて、
私が企画協力をさせていただいている
夏休みにぴったりなワークショップのお知らせです。
(「きてみん!奥三河」関連ではありません。)

2011年6月28日(火)− 9月4日(日)に開催する展覧会、
「所蔵企画展 夏 サマー de ミュージアム」
関連して行われるワークショップです。


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(美術館ウェブサイトより)
美美(ビビ)っとクールなワークショップⅠ
「水辺のいきもので飾るオーロラカーテン」


★美術をもっと楽しみたい! その1
 展覧会「夏」の作品をヒントに、色とりどりのカタチをご用意しております。これらを自由に貼り合わせて、みなさまがビビッ!とひらめいた水辺のいきものをつくりましょう。


★美術をもっと楽しみたい! その2
できあがった水辺のいきものへのつぶやきもそえて、オーロラカーテンに飾りましょう。水辺のいきものの仲間入りです。他の人がつくった仲間へのつぶやきも飾って、思いを交換し、みなさんのビビットな視点を楽しみましょう。


企画協力:柴田さやか (美術作家)
アネックス・ホール (当館別館)


◎会期中開催
※7/9・10・29・30は、他のワークショップで会場を使用するためご覧いただけません。
アネックス・エントランスにて創作のみご参加いただけます。
申込不要・参加無料・要入館券

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期間/2011年6月28日(火)− 9月4日(日)
※7/9・10・29・30は、他のワークショップで会場を使用するため
ホール内はご覧いただけません。
アネックス・エントランスにて創作のみご参加いただけます。
開館時間/午前10時~午後5時 (最終入館は4時30分まで)
休館日/ 月曜日(但し7/18は開館)、7/19
会場/メナード美術館 アネックス・ホール
   (〒485-0041 愛知県小牧市小牧5-250 TEL:0568-75-5787)


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お客様ご自身でご自由に楽しめるワークショップです。

美術館スタッフの方々の多くの協力をいただけたおかげで、
作って、書いて、見て…とさまざまな楽しみ方ができる催しとなっております。
※通常、作家は会場に居りませんが、2〜3週に1日程のペースで滞館する予定です。

2011-04-14

春らんまん、花のにぎわい(後篇)/現地制作4th

 4月の大駐車場です。
こちらでも桜の花と木々や草の新芽が鮮やかでした。















昨年の10月から作品を設置して約半年経過しました。
真っ白だったオーガンジーの色が少しずつ変わってきていますが、
近付くと強くなった日差しをぴかぴかと反射しています。

周りの桜から舞ってきた花びらが作品のあちこちに引っかかっていました。
上からのぞくと、布の下で植物が新しい活動を初めているのが見えます。















そんな周りの勢いにちょっと驚きながら、制作を始めました。

廃材の上で白い花が咲いていました。
キイチゴのようです。
茎葉に細かい毛が生えていて、
たしかに名前の通りごっつい印象がしますね。

これはスイバでしょうか…。
1メートルくらいに大きくなるはずなので、
作品の下に生えていたら突き破られそうです。










今年の春は寒い日が多く、
大きな災害が起こって心が凍りそうなことが続いていることもあって、
まだまだ春のはじまりだと思っていたのですが、
植物の世界では成長と繁殖への疾走が始まっていました。

これから秋にかけてこまめに様子を見ないと、
作品があっと言う間に植物にまけてしまいそうです。

























布と布の隙間につるがすでに入り込みかけていました。


















こちらはゲンノショウコでしょうか。
若芽の色がきれいです。



作業を初めて約3時間後。

空気がすうっと冷たくなり始めたので辺りを見回すと、日が山に入り始めていました。
時刻は17時を過ぎた頃だったと思います。
春分を過ぎてからずいぶん日が長くなりました。

作業を終えることにしたのですが、
夕方の電車は発車したばかりで、次の電車は19時台。
2時間近く時間があります。
近くの「ゆ〜ゆ〜ありいな」に寄っていくことにしました。
ゆっくりお風呂に浸かるにはちょうど良い時間です。


途中にある国道151沿いの桜並木も満開。
クリやカキの木から薄い黄緑色の新しい芽が出ていました。

お風呂からあがって駅に向かって歩いていくと、
静かな夜の旅館街の通りは街灯に桜の花や舞う花びらが照らされ、
とても幻想的な様子が見ることができました。

この日は天気にめぐまれて、
とても書ききれないほどたくさんの春の花々を見つけられました。
また、この季節に来てみたくなりました。

春らんまん、花のにぎわい(前篇)/三河槙原駅から

2ヶ月ぶりに制作へ。
今回は湯谷温泉駅から一つ北側の三河槙原駅で降りて向かうことにしました。

駅舎から出てすぐに目をひくのが、採石場だという大きな断崖。
この辺りは鳳来寺山の裏手に当たるそうです。


断崖の下を通って歩いて行く途中、
車が通れるか通れないかぐらいの巾の短いトンネルをくぐりました。

























この「槙原トンネンル」は、もともとは素堀りのままだったのですが、
トンネルの上に流紋岩の断層があるためか、
コンクリートでがっちりと補強されるようになっていました。

流紋岩は火山の活動によってできた岩石なのですが、
断層同士が擦り合ううちに岩が細かく砕かれ細かい土粒に変わっていくので、
水で削り取られるいうちに断層の部分は自然と低くなりました。
(トンネル天井右上から山上への部分に注目)

小さな山を下ると、左に宇連川が見えるようになります。
駅からほど近い対岸の辺りは「湯谷園地」として整備されていて
広い駐車場や「樹林広場」があります。
(樹林広場にもきてみん!奥三河に参加している他の作家の作品があります。)
川には鮎のヤナ場もあり、
子どもが川遊びができるように護岸されているところもありました。
また、山上には「県民の森」があるので夏はとてもにぎわいそうなところです。


ここからしばらく名勝・板敷渓谷の景色がよく見えます。
川底が板を敷いたような平らな岩盤であることから「板敷」という名前が付いたそうです。
川面をのぞくと、澄んだ水を通して川底の岩の模様がよく見えました。


すぐ右には飯田線の線路。
川と線路に挟まれた道をてくてく歩いていると、
時々サイクリングをしている人とすれ違います。

かつて忌野清志郎さんがお気に入りの場所だったという湯谷温泉。
訪れた時は彼もこの道を走っていたのでしょうか。


花の後から葉が出る
コバノミツバツツジの花もそろそろ満開でした。
あちこちで見かけました。
「レスト板敷」の駐車場にも植えられています。
 薄い紫色をしているタチツボスミレの花。
葉っぱがハートの形をしています。
黄色いイチゴの花ですが約2センチほどあり、
ヘビイチゴより大きいので、
ヤブヘビイチゴの様子。















集落を抜けて旅館街と湯谷温泉駅前へ到着。
こちらもおだやかな春の景色につつまれていました。
橋を渡ってようやく作品へと向かいました。

後篇に続く)

2011-02-12

立春から雨水へ(後篇)/湯谷の散策と花祭り

制作を終えた後は、旅館の展示を観ながらの散策と
湯谷温泉の大駐車場で行われる花祭りを観ることでした。

こういったことは、作品に直接かかわることではないのですが、
場所とかかわり合いながら作品を作ったり展示しているので、
ここがどんな場所でどのような特徴や魅力があるのかを、
自分で知っておきたいという気持ちと、
これを読んでいる方にも知ってほしい気持ちがあるからです。

という訳で、機会があれば今後も記していくつもりです。


湯谷温泉駅前の道を北へ進み、旅館街を抜けると民家が見えてきます。
どっしりした梅の木が白い花を咲かせていました。















最初に見える橋が渡瀬橋。
(この橋を渡れば「ゆ〜ゆ〜ありいな」へ向かうことができます。)
さらに進んで線路と並行に進むと見えたのが養乙女(ようとめ)橋。
この橋を渡って左に進み「レストハウス板敷」と川の間の道を進んで行きました。
こちらには森を背景に赤い梅の花がちらほら咲いていました。



















国道へ抜けるまで、約10分くらいの道でしょうか。
川の音がずっと響いています。

ちなみに梅の花は、これからが見頃。
鳳来寺山の北西、川売地区の「川売(かおれ)の梅」や、
湯谷温泉駅から2つ向こうの
柿平駅から三河川合駅の間の梅林も見事だそうです。


「レストハウス板敷」と「ゆ〜ゆ〜ありいな」の間に立つ、
樹齢900年ほどと言われる能登瀬の大銀杏の木です。















立派な枝ぶりです。
銀杏の葉が紅葉する季節にまた見たいと思いました。


少しずつ暗くなってきたので、
気軽に利用できる温泉浴場の一つである「ゆ〜ゆ〜ありいな」へ向かい、
地元の方でにぎわう温泉でひと休みすることにしました。
温泉旅館とはまた違った雰囲気でくつろぐことができます。
(タオルはレンタルすることもできますよ。)
ちなみに湯谷温泉駅から直接向かうと、歩いて10〜15分くらいかかります。


じっくりお風呂に浸かった後は、花祭りへと向かいました。
空がきれいに晴れていて、星がとてもきれいに見えました。
北斗七星や北極星を見たのはずいぶん久しぶりです。

日が暮れて気温が下がって来ているはずなのですが、
温泉にしっかり浸かっていた所為か、身体は思ったよりも湯冷めしません。


花祭りの会場でもあり、作品が設置中の大駐車場に着きました。
会場のあちこちにすでに火が焚かれ、昼間とはまったく違った様子になっています。
























花祭りとは平安・鎌倉時代から行われているというこの地方に伝わる神事です。

中央に湯の入った釜を囲んで、
太鼓や笛の音、周りの囃し声に合わせて舞が進みます。


40種以上の舞を夜を徹して踊り舞うとのことですが、
湯谷の会場では東栄町河内で行われているもののうち5種類を取り上げているそうです。
いわば「ダイジェスト版」なのですが、
その言葉が似つかわしくない位の熱気と真剣な雰囲気に引き込まれてしまいました。






































いよいよクライマックス…というところで、
飯田線の終電の時刻が迫ってしまい、会場を後に。

駅に着いても祭りの音が辺りの山に響いていて、
後ろ髪を引かれる思いで電車に乗りました。